「NHK 100分DE 名著 カール・マルクス『資本論』」【レビュー】

経済・社会

「NHK 100分DE 名著 カール・マルクス『資本論』」2021年1月のNHKテキストを読んだ感想です。

私は資本主義経済についてほとんど知識がないですが、そういう私だからこそ感じたことを書いていきます。

第1回 「商品」に振り回される人たち

「労働」は「物質代謝」という、自然を規制し制御する行為。物質代謝は循環的だから、私たちの暮らしや社会は自然に対してどんな働きかけをしたかで決まる。これがマルクスの資本主義社会を分析する際の基本的視座。

言われてみれば確かに労働は、自然の中で作り出された何かの形を変えたり、組み合わせたりすることによって新しいものを作り出すことだと思いました。この前提を頭に入れて読み進めていくと良いようです。

一人ひとりが豊かに生きるために必要なものが潤沢にあることが「富」。この「富」が、資本主義社会では次々と「商品」に姿を変えていく。みんなの共有財産だった「富」が、資本によって独占され、貨幣を介した交換の対象「商品」になる。「商品」を手に入れるにはお金が必要で、お金がない人は富へのアクセスを失う。

テレビ放送でもやっていましたが、「水」を例に考えると分かりやすいかと思います。「水」は豊かに生きるために必要なものですが、現代はその「水」はペットボトルに入って売られているものもあります。これは貨幣と交換しないと手に入れることができない「商品」になっています。そしてその「商品」はお金がある人しか手に入れることができません。お金がない人はこのように「商品」に姿を変えた「富」を手に入れることができなくなり、豊かに暮らすことが困難になってしまいます。

私はこの部分を読んで、資本主義社会で格差が広がっていく根本的な原因の一部がわかってきたような気がします。お金がないと生きられないというのはこういう仕組みだからですね。

資本主義社会では「資本を増やす」こと自体が目的。人々が必要な物より「売れそう」なモノを生産するのが資本主義。人々にとって役に立つ「使用価値」より、生産時の労働時間によって決まる「価値」が優先され、その「価値」に振り回されている。人間がモノに振り回されるようになる「物象化」。

この本の中でこの例が示されていましたが、分かりやすかったです。確かに、自分が持っているものを思い浮かべてみても、実用的ではないのに所有しているものがけっこうたくさんあると気づきました。ダイヤモンドのような宝石なども実用性はほぼないですが、非常に高い価値があるものの例だと思います。

社会のために経済を回していくといっているが、本当は「回せられている」という方が正しい。

これは印象に残りました。普段、高いものを買うときなどに、金銭面で少しためらいの気持ちがあったとしても、「経済回すことになるからいいか!」と考え、買うときがあります。でも、言い訳のようにそう考えているだけなのかもしれないと思いました。そう考えると、めっちゃ振り回されとるやん!!って思いましたが、「確かにそうだな…」と思いました。

「民営化」という名で囲い込んでいる。格差広がる。

民営化ということをあまりしっかり考えたことがありませんでしたが、利益を求めていくということですね。なのでお金を払わない人は排除されます。そう考えると、いろいろなところで民営化が進んでいますが、本当にそれでいいのか、お金よりも優先するべきことを考えて判断することが重要になりますね。

第2回 なぜ過労死はなくならないのか

資本主義は終わりのない価値増殖ゲーム。犠牲となるのは労働者と自然環境。資本は絶えず価値を増やしながら自己増殖していく「運動」。資本家も、価値増殖運動の歯車でしかない。労働者はそんな資本家に従うしかない。

どのように資本家が価値を増やし、資本を蓄積しているかという説明がわかりやすかったです。「終わりのない」価値増殖ゲームということで、怖いと思いました。資本家は、労働者や自然環境がボロボロになってもひたすら目先の利益だけを追い求めるという感じですかね。しかも労働者は資本家に従うしかないと。負のループのように見えてきました。

長時間労働が蔓延するカラクリ:もっと価値を増やしたいと思ったら、1日の労働時間を増やすことが一番手っ取り早い。

まあ確かにそうですけど、労働者は長時間労働してしまうというか、せざるを得ないというか、そうして資本家は得するということですか…。

どんな仕事をするかは自由であること、生産手段から切り離されてしまったこと、また仕事に対して責任感をもっていることが原因で辛い仕事から逃れることができない。資本家から「富」を取り戻すには「アソシエーション」が重要。

自由であるがゆえに辛い仕事から逃れられないとのことでした。逃れられないことで過労死してしまう人もいます。人の命も奪うような仕組みになってしまっているということですね…。

第3回 イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む⁉

イノベーションに資本家が求めたものは労働者に対する「支配」の強化。生産力が上がれば上がるほど労働者は資本の奴隷になる。労働のプロセスは頭で考える「構想」とそれを実現する「実行」。資本主義のもとで生産力が高まると、その過程で構想と実行が分断される。職人は価格競争にのみ込まれる。労働者も「構想」する機会を奪われ、「生産能力」さえも失っていく。人間は機械にも振り回される。

「支配」や「奴隷」など怖い言葉がありますね。確かに、労働者は上司に言われた通りに動く必要がありますから、構想することは少ないかもしれないですね。しかも機械化がどんどん進んでいるので、機械に振り回されるというのも納得です。でもただ従うだけになってしまうのは、人間として避けたいと感じます。

生産力が上がると、「相対的に過剰」な労働者があふれ、買い手優位の状況になる。すると、より安い賃金で働くだったり、過酷でも働くという人が増え、彼らが働けば働くほど生産力が上がり、さらに相対的過剰人口を増やしてしまう。これは失業者と就業者の分断を生む。

労働者側にとってみれば負のループです。もし現在のような資本主義社会のままなのであれば、生きるためには働く必要があります。生きようとすることでこのような負のループになってしまうのであれば、この社会の在り方を考え直し、違った形の社会を作っていくことが重要になると思いました。

介護や看護のような「人間にしかできない」仕事に長時間労働と低賃金という負荷がかけられている一方で、社会的にさほど重要とは思われない仕事は広告業やコンサルタント業を中心に高給になっている。多くの労働は無内容で無意味、つまらないものになっている。

これは本当にその通りですよね。ずっと疑問に思っていました。介護や看護、保育や教育は人間にしかできないということだけでなく、非常に社会的に重要な労働です。なのにめちゃくちゃ賃金低くないです。一方でそういった仕事より重要とは考えにくい仕事の給料はめっちゃ高いことありますね。違和感を感じます。

人間の労働という豊かな富を回復するためには労働における自律性を取り戻すこと。「労働の民主制」

自分で考えて動くということですか。確かに言われるがままに動いているだけでは、回復できないどころかますます苦しくなるかもしれませんからね。「考えて動く」これはめっちゃ大変だし難しいと思いますが、現在・未来のことを考えるとめっちゃ重要に思えます。

第4回 <コモン>の再生

資本主義は価値の増殖を「無限」に求めるが、地球は「有限」。人間と物質代謝に「修復不可能な亀裂」が生じる前に、革命的変化を起こして、別の社会システムに移行しなければならない。物質代謝を持続可能な形で制御することが大切。NGOやNPOなどの「アソシエーション」。

地球の資源は有限ということですかね。価値の増殖を無限に求めるなら、そりゃあ地球が崩壊するときが来ますね…。だって労働は物質代謝なんですからね。その前に別の社会システムに移行する必要があると。取り返しのつかないことになる前に。それって可能なんですかね…。もうすぐ環境問題も取り返しのつかないことになると言われたりしますが、その前に社会システム変えるって現実的にはとても思えないです…。

どうやってそれを実現するのか書かれていない。それはこの著作が未完だから。完成する前にマルクスは亡くなってしまった。残っていた草稿をエンゲルスが編集した。今も「MEGA」というプロジェクトが進められていて、「マルクス・エンゲルス全集」の刊行を目指している。

現在の社会システムに変わる社会システムをどうやって実現するのかは書かれていないということです。ここがすごい気になるところなのにな〜と思いました。でも、プロジェクトが進められているようなので、また新たに明らかになってくることがあるかもしれないですね。

マルクスはポスト資本主義社会の姿を地球環境の持続可能性の問題とからめて構想しようとしていた。生産手段と地球を「コモン」(共有財産)として取り戻そう。マルクスが思い描いていた将来社会は、コモンの再生。みんなでシェアして、自治管理していく、平等で持続可能な定常型経済社会。対価を求めない。「脱成長」型経済。

現時点でわかったところだそうです。「持続可能性」はまさに最近話題になるものですね。そして「コモン」。これが現在の資本主義社会に変わる社会の1つの考えだそうです。最低限の「富」は誰もが手に入れられることは重要だと思います。そして地球環境が崩壊しない社会も非常に重要ですね。

以上です。

資本主義社会について基本的な部分は理解できたように感じます。本当に基礎の基礎かもしれませんが、学びがたくさんありました。もっと本などを読んで学んでいこうと思いました。

資本主義についてあまり知らない人や考えたことがない人も読みやすい本だと思います。

NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』 2021年1月 (NHK100分de名著)

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